循環器内科開業医の病気、世の中、生きる悩みについての独り言です


あなたは今の政治に安心できますか?
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         あなたは今の政治に満足していますか?

 総理大臣がコロコロと変わる日本。何だか日本は大丈夫なんだろうかと不安になりませんか。私は正直不安です。では何故こんなに総理大臣が次々と辞めていくのでしょうか? 

 例えば東へ行きたい場合に、東、北、南に越えるのが大変な山があったとします。西へ戻れば山を簡単に迂回できるとわかっていれば私ならまずは西へ向かいます。東へ行くという目標がはっきりとしていれば今は西へ向いていても悩みはありません。大切なのは東西どちらを目標にするかをはっきりとすることと、それに向けたベストの方法を見つけ、そして実行することだったといえます。


 政府としてはかなりの極論をすると“西洋と東洋?・・・”に書きましたが2つの形態があります。

 社会としては、自分の実力で他人に勝つかぎり、どれだけのものを手に入れても当然だという考え方に基づいた個人主義のアメリカ型“競争社会”と、自分も含めてできるだけ多くの人がそれなりに満足のできる社会になるように、自分自身はある程度の我慢もできるという考え方に基づいた協調主義の北欧型“福祉社会”の2つです。

アメリカ型“競争社会”にあたる政府は個人のことは自己責任に任せて介入はせず、国は民間がしない、できないことのみをするような“小さな政府”となり、北欧型“福祉社会”にあたる政府は国民がそれなりの満足できる生活をできるようにいろいろな政策を考え実行する(その中には今後は雇用も含まれそうです)ような最終の形は別にして、それなりに“大きな政府”となります。そのためには資金がいるので、1つの例として日本で現在5%の消費税はアメリカにはなく、北欧では約25%です。従来は“親方日の丸”などという言葉があったように、またさらなる民営化などという発言もあるのですから日本の方向性は全体とすれば後者に近かったと思います。

 長い期間首相であった最後の方は小泉首相です。優秀な小泉首相は2005年の選挙での郵政民営化への国民の支持を、“競争社会”での政府の形である“小さな政府”全体への国民の支持と読み替えることで、“小さな政府”を目指すことをはっきりと言わないままに政治の方向性を個人主義のアメリカ型“競争社会”に向けるような自由化の政策を打ち出しました。今まで東へ向いていた車を西へ急に向けようとしたわけですが、その全体としての方針の変更が明らかでなかったがために、その後の政治が東へ西へと右往左往したことが政治の混迷の原因だったと私には思えます。

ですからこの章で皆さんにどうしてもお伝えしたかったのは、日本は個人主義のアメリカ型“競争社会”と協調主義の北欧型“福祉社会”のどちらの目標を選ぶのかをはっきりと決めることが今我々自身が一番初めにするべき大切なことだということなのです。そして次の章で書きますが、それは“今でしょ”ということなのです。


 以下にそれを決めるにあたっての参考になることを書きますが、これは“会社について”も是非ご参照ください。

わかりやすい書き方として、消費税は上げるな、社会保障をより充実させろという政治家がいますが、収入を増やさず支出を増やすことは、現在の日本の政府に1000兆円近い借金があるのですから借金を増やすだけで将来にツケを回すだけだということは誰でも簡単にわかります。逆に消費税を上げて、社会保障は減らすという方針は借金が多い今一時的な候補ではありますが最終的な目標ではなさそうです。

だから消費税を上げてでも社会保障をより充実させる北欧型の“福祉社会”か、社会保障は減らしても良いから消費税は上げないアメリカ型の“競争社会”かの2つしか候補はありえません。

憲法第25条に“すべて国民は、健康で文化的な生活を営む権利を有する”と福祉の根拠になる言葉がありますが、これ自体も国の収入が減れば不可能になるのは当たり前です。実際最低限ならば減額はありえないはずなのに、生活保護の費用は減らされつつあります。

私は北欧型“福祉社会”を支持しているので“衣食足りて礼節を知る”と”恒産なくして恒心なし”という昔の中国の言葉は政治を考える上で重要な考え方だと思っています。
 前者は“きちんとした生活ができてはじめて、礼儀などがきちんとできるようになる(社会が安定する)”という意味で、別のところに書いた政治は最低“生きるための安全保障”を確保するべきだということに当たります。
 後者は“安定した収入や仕事がなければ正しい心を持てない”という意味で、雇用が大切であると語っていると思います。以前の終身雇用制は今だけでなく将来の生活に対しての安心感を与えることで、家庭を持ち、子供を作り、未来を育もうという気持ちにさせることに大きく役立ったと言えます。

米百俵ではありませんが今我々は我慢をしてでも、若い人たちにこそ確実な仕事を用意して、次の世代への夢を持たせてあげることが一番大切で次につながるのではないかと私は思っています。

 ここでは場違いですがついでに書くと、今後パイに限りが出てきそうな時代にあって“足るを知る”は個人のレベルで幸せでありうる大切な考え方だと思っています。


大阪市長の橋本徹さんのいう、可能な限りの民間委託による仕事の効率化と“小さな政府”にあたる行政のスリム化が今わかりやすいかと思いますので例にひかせてもらいます。

私も民間委託をすると競争が生まれてより無駄を省くことになりやすいということは事実だと思います。ただし仕事内容での改善は意識改革でも少しは可能かもしれません。 “会社について”で書きましたが、今の会社は昔の終身雇用制からリストラをしやすい体質へと変化していて、一番の経営の効率化は人員削減といえます。実際橋本市長も地下鉄の職員が民間に比べて多すぎることを指摘しておられます。現在は社会がどんどん発展している状況ではないので人員削減は、次の雇用が無いため失業率の増加となって生活保護などの支出が増えることにつながりうるのです。また8万円を生活保護でもらうのと、同じ金額を何らかの仕事への報酬としてもらうのではどちらを選びますかと聞かれたら、子の親としての私は仕事を選びます。雇用そのものが重要だということなのです。私は民間が雇用を維持しがたい今、公的機関がそれなりの雇用を確保することも必要ではないかと思うのです。

 一つの飽和しかけた状況の中では、“効率化”自体が必ずしも正しいとは言えないのではないだろうか。より有効に使うことは必要だけど、防衛のところで書きましたが無駄をわざと抱えておくことも全体から見れば必要なことがあるのではないかと思っています。

 最終的にどのような形に落ち着かせるかは別として、昔のアメリカのニューディール政策がそうであったように、経済の活性化だけのためでなく、雇用を会社を介さずに、公的に直接に管理できる余地を持っても良いのではないかとまで考えています。

 

マスコミの皆さんへ:

一つだけどうしてものお願いがあります。“日本が良くなるように”“日本人が幸せになるように”・・・その問いかけを忘れずにいてほしいということです。

少し非難めいて聞こえたらお許しください。現実に一番多い首相交代の理由は公約を守れなかったことなどによる支持率の低下のようです。そして政治家の約束の言葉を取り付けることに自分の仕事の意義を感じられていると思える場面を目にすることが時にあります。勿論大切なことですしお気持ちはわかります。でもあなたご自身は自分のした約束を100%守ることができますか?私は努力をしますが、100%はできそうにありません。また例えば西に向かう車を東に向けたとしても、車の方向が変わるのにそれなりの時間がかかります。ましてや元の地点へ戻るだけでもさらに時間がかかります。

物事には“目標を決め、方法を決め、実行する”の3段階があります。東へ行こうとしても西を向いている時間はありうるのです。大切なことはそれを実行するに当たって彼が全力を尽くしているか、今がどういう状態にあろうと彼が選んだ方法が目標に向かってのベストないし次善の手であって間違いをしてはいないかということです。彼が全力を尽くしていないなら絶対に叩くべきです。日本を良くしてくれる立派な政治家を育てることも大切なマスコミの仕事の一つだと思っています。

 一番大切なことは一緒になって“日本を良くする”ことなのだと思います。

                   ”会社について”
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